事業者・農業者の“いま”
【事業者紹介】東京に避難して13年。”大堀相馬焼”の魂を胸に刻み続け、馬を描く!!
浪江町で「大堀相馬焼」の窯元「勘治郎窯(かんじろうがま)」13代目である小野田一洋(かずひろさん)と妻で絵師の紀恵子(けいこさん)は、浪江町を追われ東京に避難し、既に13年が経つ。「古里を離れても馬の絵を描いて伝統をつなぎたい」と意欲を燃やし続け、令和5年2月に大堀相馬焼で女性初の伝統工芸士に輝いた。江戸時代から300年以上続く大堀相馬焼は、独特の青みと細かいひびが入った「青ひび」、左向きに走る馬を描いた「走り駒」などが特徴だ。一洋さんは「陶器を窯から出して冷ましている時にピン、ピン、ピンと音がしてひびが入る。ひびに墨を塗って手が真っ黒になった」と懐かしむ。
紀恵子さんは50年前に結婚してから、絵師となった。相馬藩のご神馬を、先輩絵師に教わった技法で荒々しくしたり、古代の相馬焼を参考に柔らかいタッチにしたりして、何千頭も描いてきた。「浪江町大堀で一生過ごすと思っていた」と今でも悔し涙をこぼすが、避難先での会場でたまに参加するイベントで馬を描きながら、当時の楽しかった浪江町を思い出す。当日の会場でも、外国人の方が、”wonderful”と、馬が描きあがるのを見入っていた。
2024年7月1日掲載
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