事業者・農業者の“いま”
(川内村)「凍み(しみ)もち」の季節がやってきました!(餅つき編)
農業生産法人株式会社緑里(代表:河原修一さん)では、2025年を迎え、恒例の「凍みもち」製造を始めました。ヨモギ・オヤマボクチの入った草もちを一つずつ形作り、1月から2月の寒い時期に軒先に吊るして乾燥させたものを「凍みもち」といいます。今回は、「凍みもち」の製造工程(前編:餅つき)をご紹介します。
(1)【材料の準備】もち米ともち草(ヨモギ・オヤマボクチ)、つなぎに米粉を使用して作ります。
(2)【餅つき・成型】蒸しあがったもち米、米粉に、もち草(ヨモギ・オヤマボクチ)を混ぜてつき上げます。つき上がった餅を型に入れ、かまぼこ型に成型します。この際、中に空気が入らないよう、長く伸ばした餅を二人で呼吸を合わせ、何度も返しながら空気を追い出します。代表の奥様・茂美さんが、約20年の試行錯誤を重ね編み出した方法とのことで、これが最もきれいに仕上がる成型方法だそうです。
その後、成型した餅は別室で保管され、餅切りに適した硬さになるまで1~2日寝かせます。
(3)【餅切り】その後、1センチメートル位に餅切りすると乾燥前の「凍みもち」が出来上がります。
次回はこの続き、「凍みもち」の乾燥工程を、取材・紹介しますのでお楽しみに。
(歴史)さて、「凍みもち」の起源はいくつかの説があり、有力な説の一つは天明・天保の大飢饉の時期に始まったというものです。この時期、食糧不足に備えるために長期保存が可能な食品が求められ、「凍みもち」が作られるようになったとされています。生活を支えるアイデアが、食文化へと繋がりました。
(知恵)「凍みもち」は、餅を寒風に晒して凍結・乾燥させることで作られます。この方法により、餅は長期保存が可能となり、非常時の食糧として重宝されました。また、農作業の合間に手軽に食べられる携帯食としても利用されています。
(地域と文化)福島県では、会津地方や阿武隈山系の地域で「凍みもち」が広く作られており、各家庭で独自のレシピや方法が伝承されています。また県外でも、冬の寒さが厳しい東北や信州を中心に広く作られていますが、乾燥させる際の気温、雪の量や湿度、風の強さなど、地域によって気候や風土が異なるので、見た目や作り方も違いが生まれます。だからこそ、「郷土食」として人気なのでしょう。今では、若い方の認知度も上がり、「凍みもち」は福島のソウルフードとして、道の駅や直売所でも購入することができます。河原代表は、東日本大震災の際、避難先でも「凍みもち」を貴重な非常食として食べていたとお話しくださいました。
皆さんも、川内村の「郷土食」を応援するため、是非、手に取ってご賞味ください。多くの方に身近に感じてもらうことで、「郷土食」は受け継がれていくのかもしれません。味付けは、砂糖醤油やきな粉、海苔が定番ですが、川内村の「すりえごま」もいいですね。
農業生産法人緑里 商品紹介
https://midorinohyakushoya.jp/products/
2025年1月21日掲載
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